ルカ5:27-32 2019.8.11
「嘆く者へ」 井上創牧師
レビは、病人でした。
体や心が病んでいたわけではありません。
その存在が病気でした。
他者から疎まれ、やがて自分自身でもそれを当然のこととして受け入れてしまっている。
悪いのは徴税人である自分だ。
嫌われたって、なき者がごとく扱われたって仕方がないのだ。
そういう悲しみの中に肩までどっぷりと浸かり込んでしまっていたのです。
そういうレビには、医者が必要でした。
その存在をまるごと引き上げてくれる誰かが必要でした。
それが、イエスさまだったのです。
人がなんと言おうが、あなたがなんと思おうが、わたしはあなたと一緒にいたい。
そうやって目を留めて引き上げてくれたのです。
存在を作り出すお方だからこそ、「あなたはいてもいいのだ」と言えるのではないでしょうか。
レビはもう、自分の存在がおかしなものだと思わなくなっている。
そうなって初めて、自分がどうするべきかが見えてくる。
どうなりたいのか。悲しみから抜け出す具体的な方法を考えられるようになっていくのでしょう。
戦争は、他者の存在を傷つける人、自分の存在を嘆く人を増やします。
お前なんかいなくなればいい。銃弾や、爆弾にはその思いが込められます。
その思いは、人に向けていいものではありません。
そういう思いを向けられていい人はいません。
神さまは、一人一人の存在を肯定しています。
それだから、その思いと真っ向から衝突するような戦争を、わたしは嫌います。
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