実はわたしたちの社会は権威に従うことによって健全に成り立っているのではないでしょうか。警察や裁判所などによって、ルールや法律が権威の下に確かな力を持っているからこそ、この世界の秩序が保たれ、わたしたちの心は容易に誘惑に負けないように守られているのではないでしょうか。
大事なのは、この権威と力が暴走しないように気をつけることです。先の大戦において、日本基督教団もナチス政権下のドイツの教会も、国家権力に従い、侵略戦争を肯定しました。そうならないために、わたしたちキリスト者には預言者としての権能が授けられていることを忘れてはならないでしょう。
預言者であるキリストはその権能を、御自身を信じる人たちに与えてくださいます。預言者は神さまの言葉を聞き分け、その御心に基づいて世の有り様を正す役割を持っています。預言者たちは命をかけて時の権力者と対峙してきました。その「見張りの役目」がわたしたちも任されているのです。
それでは、今ある権威が神さまの御心に適ったものであるかどうかをどのように見分けていけばいいのでしょうか。5節に出てくる「良心」という言葉は、神さまが造ってくださったままの、わたしたちの最も深いところにある、自分自身でさえも気づくことの難しい原初の心のことです。聖霊の助けを借りて、静かな祈りの中でこの良心に聴き、わたしたちが従うべき、神さまが与えてくだる真の権威を捜し求めていきましょう。
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