説教要約 マタイ28:1-15 2023.9.23
「ここにはおられない」 井上創牧師
8節、マリアの恐れと喜びの根底には「驚き」があります。死者は墓に葬られているという当たり前のこと。「そうであるはずだ」という思考の死角を突かれた驚きから恐れと喜びが生まれてきているのです。死者が墓にいない。救い主が「そうであるはずのないところ」にいる。これがイエスさまの復活の指し示すメッセージの一つです。
11節以下の祭司長たちや長老たちは、イエスさまの復活をなかったことにして、弟子たちのその後の活動を妨害しようとしています。一方でこの人々はまた、「イエスの復活という驚き」=「自分の思考の外に起こる出来事」を受け止めきることができずに、自分たちの思考の範囲内で都合良く受け止めようとする者たちの姿を表しているとも思えるのです。
心が何かに囚われてしまうことは、わたしたちの苦しみの源です。人生設計、体の機能、人間関係。こうであるはずのことが、そうならない。思考の外にある驚きから生まれる恐れは、わたしたちを翻弄します。だから、旧約の昔から、あるいは5節の天使、10節のイエスさまも、「恐れるな」と繰り返しわたしたちの語りかけてくださっているのです。
神さまから与えられている「隣人」は、もっとも身近にあってあなたに思考の外の驚きをもたらします。その驚きによる恐れにばかり目を奪われるのではなく、そこにおられる復活の主に出会う喜びに目を向けていくことができればと願うのです。
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