top of page

2023.12.24説教要約 ルカ 2:1-7「片隅に宿る光」

時の権力者であるローマ皇帝による税制改革に伴う人口調査が行われたため、マリアは身重でありながら旅をしなければならなくなりました。婚約者であるヨセフの故郷にはしかし、二人を助けてくれる人がいなかったのでしょうか。マリアは生まれたばかりの赤ん坊を飼い葉桶に寝かせました。イエスさまの生誕は決して華やかであたたかいものではなかったのです。


国の政策によって翻弄され、右往左往する若い夫婦。その姿は、今のわたしたちの国においても見られるものであるかもしれません。イエスさまはそのようなわたしたちに希望の光を示そうとして、世に生まれてくださったのです。


未婚のまま身籠もったマリアに対する風当たりは、ヨセフの親戚の間でも強かったのかもしれません。宿の手配さえしてもらえなかった二人。本人に直接何が起こっているか聞くこともせずに、外面や噂で判断をする偏見に満ちた目は、現代においてもわたしたちを刺すことがあります。イエスさまは人々から追いやられたような世界の片隅に生まれてくださったのです。


当時の家畜小屋は、自然にできた洞穴を利用して作られたとも言われています。そこに置かれていた飼い葉桶は、石でできていたとも。洞穴の石の棚に布にくるまれて寝かされる幼子は、そのまま十字架の後に葬られたイエスさまの姿に重なるように思えます。生きること、そして死ぬことに翻弄されるわたしたちと共にイエスさまは生き、死んでくださるのです。

最新記事

すべて表示

2024.1.7説教要約 ローマ 1:1-17「信仰によって励まし合う」

パウロは数々の手紙を書きましたが、その宛先の教会の多くは分裂の危機にさらされていました。初期の教会はまだ確たる神学もなく、教理も定まっていなかったからです。そのため、パウロの手紙には、教理を整えたいという思いと共に、これらの教会に向けた和解のメッセージが込められていたのでしょう。 12節に「互いに持っている信仰によって励まし合いたい」とパウロは言います。これは、パウロが自分の信じ方が絶対ではないと

2023.12.31説教要約 ルカ 2:22-38 「時代の終焉」 

旧約聖書の価値観のひとつは、神さまからの祝福された者は「長寿」が与えられるというものでした。しかし、シメオンの願いは「安らかに世を去る」ことでした。たとえ生き長らえたとしても、満たされず、安らぎを得ることができないなら、そこに何の意味があるだろう。イエスさまの時代に、旧約聖書の価値観に対して、人々はそんな限界を感じていたのでしょう。 誰からも立派な人だと認められるように生きてきたシメオンは、しかし

2023.12.17説教要約 ルカ1:39-56「低くなる神」

マリアは天使からの告知に不安を覚えたのではないでしょうか。だから、同じ境遇にあるエリサベトを訪ねようと思ったのです。そして、年配で信仰も篤いこの親戚から、励ましと希望をもらいたいと思ったのはないでしょうか。しかし、週報の表紙(先週)を見ると、マリアの足下にエリサベトがひざまずいているようです。慰めを得たいと願っていたマリアの方が、その身にイエスさまを宿したことで、却ってエリサベトを喜ばせ、力づける

bottom of page