説教要約 出エジプト3:1-12 マタイ1:23 2023.10.8
「遣わすしるし」 井上創牧師
モーセの生い立ちは波乱に満ちたものでした。彼はヘブライ人の子として生まれ、エジプト人の子として育ちます。当時エジプトはヘブライ人を支配し奴隷のように扱っていました。モーセはアイデンティティー(自己同一性)に揺らぎを抱えていたのです。しかも彼は殺人の罪を犯し、故郷であるエジプトを離れ、流浪の民であるミディアン人と結婚し家族となるのです。
モーセはある日、燃え尽きない芝を見て不思議に思い、道を離れて近づいていきます。それまでは備えられた道を、ただ漫然と混乱の内に歩んでいたモーセですが、このときその道を逸れてみたのです。彼はそこで神さまと出会います。
神さまはモーセに御自分の救いの計画を語りますが、それは単に「囚われの民を救いたいから民を導き、王を説き伏せよ」というだけのことではありませんでした。この神さまからの呼びかけは、複雑な自分を抱えたままのモーセに対して「あなたは何者であろうとするのか」という問いかけでもあったのです。モーセはその後、遣わそうとする神さまに対し「わたしには荷が重い」と繰り返します。しかし、時に「遣わされていく」とは、他者のために働くことだけではなく、あなたは何者かと問われていくことでもあるのです。この仕事はモーセ自身を探す旅であり、モーセにしかできないことでした。
わたしたちも神さまから遣わされていく現場に、わたしにしかできないことが用意されているのではないでしょうか。
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