top of page

2023.10.22説教参考「ヘブライ語には過去形がない」

「ヘブライ語には過去形がない」

 池澤夏樹著 『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』

                  (井上抜粋)

池澤 たしか、古典ヘブライ語には過去形がないんでしたね。

秋吉 時制によって、動詞が形を変化させるということがありません。たとえば、太古の天地創造の話、あるいはバビロン捕囚のような大昔の話、それと現在の話など、ギリシャ語やラテン語なら、時制に従って動詞の形を変化させて記述されるとことですが、ヘブライ語では動詞の形そのものは変化しない。それが過去の話なのか現在の話なのかは、状況語で判断するしかないのです。

   過去形のないヘブライ語では、過去に交わされた会話もすべて直接話法で語るのですから、直線的な未来志向にはならない。もっと言えば、天地創造というのも過去のことではなく、いまだ終わっていないんです。

池澤 イスラエルとパレスチナがああいう形で争いを続けている。あの確執がなぜこれほど長く続くのか、どうも外からはなかなかわからない。あれは彼らがどちら側も超時間的なものの考え方をしているのではないかと思うんです。

   もういい加減にしたらと、ついモンスーン地帯の人間は言うことになってしまうけれど、敵との対決という形において自分は存在しているのだと双方が思っている以上、あれはしょうがないのかもしれない。モンスーンの地では時の流れを自然に任せている。しかし、砂漠には暦がない。だから、時に任せて忘れるということをしない。

最新記事

すべて表示

2024.11.3説教要約 コロサイ 2:20-3:4 「キリストと共に」

パウロは読者に対して、「あなたがたは死んだ」「復活した」と、それがまるで既に起こったことのように言います。彼独特の表現です。彼は終末におけるキリスト再臨の約束が確かなものだと信じているので、死や復活などの未来の出来事が今まさに身に起こっている出来事として受け止めているのです...

2024.10.27説教要約 フィリピ 1:12-30「キリストにある生」永瀬克彦牧師(上諏訪教会)

「いつも喜んでいなさい」(Iテサ5:16)。パウロはまさにこの姿を体現しています。パウロは獄中からフィリピの信徒に向けて手紙を書いています。普通であれば、「助けてほしい」「励ましてほしい」と書くでしょう。しかし、パウロは反対にフィリピの人たちを励ましています。辛いのをぐっと...

2024.10.20説教要約 ローマ 15:22-33「祈り合う者たち」

一説では、パウロはいわゆる第三次宣教旅行の際にコリントに立ち寄り、そこでローマの信徒への手紙を書いたと考えられています。そこから、まずはエルサレムへと向い、マケドニア州やアカイア州で集めた募金を届け、やがてローマの教会の人々に会うときには、「キリストの祝福をあふれるほど持っ...

Comments


bottom of page