説教要約 マタイ12:9-14 2021.8.8
「善いことをするのは許されている」 井上創牧師
この当時の律法解釈においては、安息日に穴に落ちた羊に対しては、延命のために餌や水を運ぶことは許されていたようですが、直接引き上げることは許されていなかったようです。そうであれば、イエスさまはここで「何が正しいことか」ということについて話しているのではない、ということになるのではないでしょうか。
人々は「律法によって許されているか」と問いますが、イエスさまは「善いことをするのは許されている」と答えています。これは、律法が正しさの尺度としてのみ用いられ、人を裁くことに利用されている当時の状況に、「果たして神さまはそのようなことのために律法を与えてくださったのだろうか」と疑義を呈しているということなのかもしれません。
道徳も倫理も確立されていない混沌とした古代から、神さまはわたしたちに語りかけ、人間の一つ一つの営みに触れて、秩序を構築するために助けてくださいました。殺し合わずにすむように、誰も人の物を盗まずにすむように、親子が憎しみ合わず、他者を羨むことのないように。十戒も律法も、そのためにこそ与えられたのではなかったでしょうか。
そういう世界が到来するためには、律法によって罪の重さを量るのではなく、一匹の羊を大切にしてくださるような真心からの愛が(善いことが)大切なのだと、イエスさまは教えてくださっているのでしょう。
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