top of page

2021.4.18 説教要約 マタイ9:14-17「心から悔いる」

説教要約 マタイ9:14-17 2021.4.18

「心から悔いる」      井上創牧師


ヨハネの弟子たちは、イエスさまに論戦を仕掛けたかったわけではないのでしょう。きっと、自分たちもわからなくなっていたのです。「断食」をする意味を。断食を通して、神さまが自分たちに何を求めて、どのように応えてくださるのかを。


イエスさまは応えて、「花婿のいる間には断食できない。花婿が奪われたときには断食をするようになる」というたとえ話をします。これはまず、イエスさまが十字架につくという予告です。しかし、それだけではないのでしょう。イエスさまは、断食が罪を悔いる悲しみの表現で、そこにどれだけ実感がこもっているかということが大切なのだと、ヨハネの弟子たちに伝えようとしているのでしょう。


結婚式の真っ最中に、悲しい気分になって断食することはできません。そして、大切な人を失ったときには、後悔や悲しみの故に食事さえできなくなってしまうことでしょう。このように、その時々の心の動きに、わたしたちはしっかりと向かい合っていくことで、新しい革袋のようなしなやかに伸び縮みする豊かな感性を神さまから与えていただけるのではないでしょうか。


「断食」に限ったことではないでしょう。律法を単なる決まり事と解釈してしまうことは、心の動きを鈍らせてしまいます。そのような固定観念や先入観に囚われず、自分の痛みや他者の痛みを新鮮なものとして受け取っていくことで、イエスさまの愛の心に近づいていけるのではないでしょうか。


最新記事

すべて表示

2024.1.7説教要約 ローマ 1:1-17「信仰によって励まし合う」

パウロは数々の手紙を書きましたが、その宛先の教会の多くは分裂の危機にさらされていました。初期の教会はまだ確たる神学もなく、教理も定まっていなかったからです。そのため、パウロの手紙には、教理を整えたいという思いと共に、これらの教会に向けた和解のメッセージが込められていたのでしょう。 12節に「互いに持っている信仰によって励まし合いたい」とパウロは言います。これは、パウロが自分の信じ方が絶対ではないと

2023.12.31説教要約 ルカ 2:22-38 「時代の終焉」 

旧約聖書の価値観のひとつは、神さまからの祝福された者は「長寿」が与えられるというものでした。しかし、シメオンの願いは「安らかに世を去る」ことでした。たとえ生き長らえたとしても、満たされず、安らぎを得ることができないなら、そこに何の意味があるだろう。イエスさまの時代に、旧約聖書の価値観に対して、人々はそんな限界を感じていたのでしょう。 誰からも立派な人だと認められるように生きてきたシメオンは、しかし

2023.12.24説教要約 ルカ 2:1-7「片隅に宿る光」

時の権力者であるローマ皇帝による税制改革に伴う人口調査が行われたため、マリアは身重でありながら旅をしなければならなくなりました。婚約者であるヨセフの故郷にはしかし、二人を助けてくれる人がいなかったのでしょうか。マリアは生まれたばかりの赤ん坊を飼い葉桶に寝かせました。イエスさまの生誕は決して華やかであたたかいものではなかったのです。 国の政策によって翻弄され、右往左往する若い夫婦。その姿は、今のわた

bottom of page