説教要約 マタイ8:23-27 2021.3.14
「眠るイエス」 井上創牧師
イエスさまは弟子たちに、湖の「向こう岸に行くように」と命じられました。このガリラヤ湖の向こう側というのは、当時は外国のような別世界であったと思われます。イエスさまの意図は明記されていませんが、伝道方針の大きな転換がなされたと言えるでしょう。こういった急な方向転換には危険が伴います。やがて湖は荒れ始めます。
嵐の中で船が沈もうかというとき、イエスさまは眠っていました。弟子たちはイエスさまを起こして助けを求めます。目を覚ましたイエスさまは不思議なわざで嵐を鎮める前に、弟子たちを「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ」と叱ります。
昔から聖書に登場する「船」は「教会」を表わすと考えられています。教会はその長い歴史の中で、時代の大きなうねりと波風に信仰を揺らがされて、イエスさまに叱られそうになることが何度もありました。しかし、それは「向こう岸に行くように」というイエスさまに従ったからこそ、嵐にも見舞われ、怖れに取りつかれもしたのではなかったでしょうか。新たな地へと向かい挑戦し続けたからこそ、教会は危険に晒されもしてきたのではなかったでしょうか。
そういう船の中にこそ、イエスさまは眠っておられます。そして、起こすなら目を覚まして助けてくださるのです。わたしたちも叱られることを承知で、「向こう岸」へとこぎ出していくことができたらと願うのです。
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