説教要約 使徒27:33-38
「困難な船旅」 井上創牧師
ローマでの宣教を夢見ていたパウロは、ついにローマへと旅立つことになります。この航路はしかし、予定していたものとは全く違うものになってしまいました。度々、風によって行く手を阻まれていた船は、ついには暴風に見舞われ航行不能になってしまいます。人間が望み、進もうとする方とは違う道を示すこの風は、神さまの聖霊の姿なのかもしれません。
船出から3日、人々は食事も取れずにいました。パウロはしかしその嵐の中で天の御使いの声を聞きます。「あなたたにが頼みとしてきたこの船は失われてしまう。しかし、命を失う者は誰もいない」。パウロはそれをみんなに伝えて、繰り返し言うのです。「だから元気を出しなさい」と。嵐の中を進む教会もまた、「あなたは命を得る。元気を出しなさい」という御言葉の励ましを聞きながら進んでいくのでしょう。
14日目、陸地に近づいたことを知った人々は、散り散りに陸地を目指そうとします。パウロはそれを押し止めて、「困難な時だからこそみんなで一緒にいなければ」と、不安のため、何も食べられずにいた一同に食事を勧めるのです。「パンをとって、感謝の祈りをささげて、裂いて食べ始めた」と書かれています。パウロの姿がイエスさまと重なります。
聖餐式にはいろいろな由来や意味があります。わたしたちの信仰を養うための、ほっと一休みして囲む食卓。これも聖餐式のひとつの由来でもあるのではないでしょうか。
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